投稿

6月, 2024の投稿を表示しています

けど時代はLED

  十代初めの頃まで住んでいた生家は、鬱蒼とした森に建つ、築三百年あまりの小さな古城でした。 城の周辺には家族以外にもいろいろなものが住んでいました。森にはシカやイノシシが、城の地下にはネズミやコウモリ、天井裏では外壁にあいた穴から侵入したアライグマの一家が日夜運動会を開催していました。 そして自分のとなりにも、家族ではない存在がいました。そのひとを仮にAと呼びます。 子供の頃はよくひとりで夜遅くまで留守番をしていましたが、生家での留守番はあまり愉快なものではありませんでした。 昼でも薄暗く陰った森は、夜になると完全に闇に包まれます。目をこらしても何も見えない暗闇が壁をひとつふたつ隔てた先に横たわっている中でひとり家にいるのは、心細いものでした。 また、夜の森ではよく何かが動き回っていて、そのガサゴソという音は壁を通して城の中までよく聞こえてきました。そういった音を聞くたび、何かが城に侵入してきたのかもしれない、と嫌な想像が脳裏をよぎりました。 古い建物なので、ギシギシという家鳴りも頻繁に聞こえてきました。木がきしむ音が聞こえるたび、何者かが部屋に近づいてくる気がして身を固くしていたのを覚えています。 あらゆる音が恐怖に変換される留守番は気が滅入るものでした。そこには得体の知れないものがすぐ近くで息をひそめているような感覚が、いつも静かに横たわっていました。 そのため留守番の時はいつも小さな部屋に閉じこもって、テレビをつけっぱなしにしていました。テレビをつけていれば城や森からの音は聞こえないし、テレビから流れる人の声を聞くと恐怖が少し拭われる気がしたのだと思います。 Aは、そんなふうにひとりで留守番中、テレビを見ている時によく現れました。 現れたとはいっても、Aと自分は特段会話をするわけではなかったし、視線さえ交わることはありませんでした。 テレビを見る自分の傍らで、Aはただ立ったり、座ったり、誰かと話したり、魔法学校で二重スパイとして働いたり、脱税を調査したり、何度も時間を巻き戻して魔女と戦ったりしていました。 Aは姿も考え方も不定形でしたが、変わらなかったのは、Aがいつも自分に元気を与えてくれたことでした。Aは目の前で輝きながらも決して関わることのできない、手の届かない星のような存在であると同時

こども

  こんばんは。おそらく3回目の、最後の日誌を書いている22元音響チーフです。今回のテーマは「おとな」だそうです。  私が最近「大人だなぁ」「大人になったなぁ」としみじみ感じたのは、現音響チーフがチーフ業をこなしているところ、23の音響民が、私たちの代が教えていたことを今度は24に教えているところなどを見たときです。  ところで、「おとなになる」って、どういうことなんでしょう。酒が飲める年になった、選挙権を得る年になった、身体が大きくなった、物事を冷静に捉え考えられるようになった、、人によって定義は違うと思います。でも、「おとなになった」と言うとき、そこには「こどもである」ことと対比して、「良くなった」という意味が含まれていることが多い気がします。  でも、子ども(年齢的に)は、大人(同左)が思うよりも、色々なことを考え感じているのではないかと最近思うようになったんです。それは、授業で子どもと大人の関係について考えた時、昔の自分を思い出して、あの時子どもなりに大人に忖度したり、様々な感情を抱いていたりしたなぁと思い出したからかもしれません。またパレスチナのガザでは、大人だけでなく子どももジャーナリストになって、ガザの現状や、侵攻前より数も量も少ないご飯の作り方などを伝えています(パレスチナ解放)。逆に、おとなでも、立派な行動をする人ばかりではない。そこには様々な背景があるとは思いますが。  こどもって、そんなにバカにする存在じゃないよねとも思うんです。  今作のタイトルは、『人と成りては』です(今まで語ってきた「こどももいいよね」みたいに、「人じゃなくてもいいよね」とは書いてません)。個人的にすごく楽しみにしています。いつの間にか、引退公演ですって。今書いていてびっくりしました。時間経つの早すぎません?  これまで大勢の人に出会えたし、お世話になりました。私にとってプリズムは居場所だったと思います。たぶん。非常に感謝しています。  これまで関わってくださった方々、ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました!

振袖は赤にしました

 24宣伝美術セクション員です。新人で恐縮なのですが、せっかく担当させていただくのでなんとか書いてみます。  さて、この春大学生となったわけですが、大学生という立場は思っていた以上に、おとな、としての振る舞いが求められることが多いです。たとえば教授へのメール、バイトでの接客態度、各種の書類作成。(教授と関わるとき、わたしは学生という立場だからおとなとは少し違うのかな)  わたしはその度にどこか背伸びをしている感覚になります。おとなになりきれていないと反省する日々です。等身大の自分はまだまだこどもで、そこにギャップを感じています。  宣伝美術セクションに所属したいと思ったのは、デザインを仕事にしている母の影響です。母の作品はやわらかくて、それでいてしっかり芯が通っていて、伝えたいことがすっと心に馴染みます。わたしは、そんな母の作品はもちろん、真心をもって表現と向き合う母のことをとても尊敬しています。まさしく母は憧れのおとなです。この4月から上京したわたしに向けて描いてくれたポスターがあるんです。それはあまりにもやさしくって、わたしに寄り添ってくれていました。何度見ても泣きそうになります。  ところで、演劇もデザインも、それを媒介としてなにかを伝える、という目的を持つ点では共通していると考えています。なにを伝えたいか、どう伝えたいか、その方法を考えるのがいちばん苦しくていちばん楽しいから、わたしは表現することを続けているのかな。思えば幼いころから表現することが好きでした。絵を描いてみたり、ごっこ遊びをしてみたり、踊ってみたり、ピアノを弾いてみたり。決定的に夢中になったのは中学生で出会った演劇でした。さまざまな方法で、自分の考えていることをどうにか伝えることに喜びを感じていました。おとなになりかけている今も、その気持ちは変わりません。  そうそう、おとなになりかけている、といえば。わたしは来月には20歳です。まったく実感がわきませんがどうやら法律上はお酒が飲めるようになってしまうらしい。18歳で成人したときはおとなの自覚のようなものは1ミリも芽生えなかったので、20歳こそは、と思っているけどおそらく生まれ変わったような心地になることはないでしょう。地続きです。おとなになりたい。  締め方が全然思いつかないので声に出して言いたい化合物を発表して終わります。ε-カプロラクタム

遅れちゃいましたね

どうも、22小道具セクション員です。最初で最後の作業場日誌になります。引退ですよ。あっという間ですね。振り返れば執行代以降、なんか妙な立場にいたおかげでいろんな経験ができて、関わらんだろうと思っていた分野の知識もいっぱいつけてもらいました。最近は大学の授業の方でも自分に強制する形で学び始めて、知るうちに初めて面白さに気付いて、ああ、私って無知だったんだな、となる感覚が癖になってきた人間です。  さて、「おとな」についてですね…高校を卒業して、大学生になって、それまでとは質の違う経験を色々するにつれ、おとなになっていく過程では、他の人に大きな影響を与えられるような力がつくもので、その力で誰かを幸せにすることもできるようになるんだけど、それと同時に誰かを傷つけられる力もついてきてしまうものだと分かってきて。しかも自分視点では普通に振舞っているつもりでも、意図なんて無関係に嫌な方向に事が進んでしまうなんていうのは現実的に存在しまくる話で、しかもそれが自分一人では抱えきれないものになってしまって目を逸らしたくなることの方が多くて、だからといってその力を失うことなんてできなくて。だからこそ、(自分のことも他の人のことも守るために、)不本意に他人を抑圧してしまいかねない自分を知ってそれを考慮しながら行動する責任を持つ術を手に入れることがおとなになることなんだなあと思っていたら、(教職取るつもりは全くないのに興味本位で取っている)教職科目で、教師になるにあたってということでそういう類のお話をちょうどされました、ちゃんちゃん。  おとなになるってそういう意味では「演じる」みたいだなと思うのだけれど、子どもが演じるのと違うのは、それをするのが自分だけのためなのではなく、場合によっては自分の欲求まで削って他の人のためにそうし続けるものなんだろうなということで。  そういう観点で見ると、うちの父親がおとなとしてはすごくよくできた人なんですよね。悪いことは見逃さずに叱り、しかも行動改善に至ることを第一に画策しているため仮に見た目では激昂していたとしても奥底には冷静さを残しているし、中立役となるべき時は冷静に中立役に回ることに徹底できる。帰省のたびに車で丸二日かかる行程を一切文句を言わず一人でずっと運転している、仕事その他の愚痴を家族に一切溢さずに、心身ともに健康でいられるために趣味を楽しむ

もちもちもちもちも

  大人になってもぬいぐるみを手放せていない22衣装です。今も一緒に寝ながらこの文章を書いています。20歳越えさすがに…という目があるのは分かっていますが、私が大きくなるにつれて買うぬいぐるみも大きくなっているので共に成長しているということで許してもらえるそうです。やったね 歳を重ねても趣味嗜好は変わらないなと思います。ぬいぐるみも絵も音楽もお洋服も、小さい頃から大好きなままです。食べ物くらいですかね。以前食べられなかったワサビは、味蕾が死んだので大好きになりました!成長!! 「おしごと調査」の授業でファッションデザイナーについて発表した小学生の私。まだ学生をしていますが、紆余曲折あり、サークルで夢を齧ることが出来ています。 衣装セクションに所属して2年が経ち、ようやく満足のいく製作が出来るようになってきました。夏公演を最後に引退になりますが、細々とでも創作活動を続けていけたらと思います。 ぬいぐるみを目の前に並べて限界作業する夜が続いていますが、見守ってくれるぬい達可愛いすぎるので頑張ります。 ちなみに、最近は推し活の一環でぬいぐるみを持つことが浸透してきたのでぬいぐるみと外出しても変な目で見られなくなりました。嬉し〜

早生まれ

  こんにちは!制作セクションが小道具などを制作するものだと勘違いして入ってしまってから、もう2年近く経ちました。そんな22の制作セクション員が、僭越ながら作業場日誌を書かせていただきます。 テーマが「おとな」ということで、早生まれというタイトルでいきたいと思います。かくいう私は、2月生まれの典型的な早生まれです。今では、たった28日間しかない2月に生まれたということを誇りに思っています! そんな私も、小さい頃は早生まれであることが嫌でした。幼稚園の頃は、全員の誕生日が月ごとに表にまとめられて掲示されており、一番誕生日が遅い私は劣等感のようなものを感じていました。同級生には年齢で負け、一個下の学年の子にもすぐに年齢で並ばれるため、なんだか自分が弱いのではと思うこともありました。小さい頃は早く年齢が大きくならないかな〜と考えるので、当然のことかもしれません。同級生の大半と生まれた西暦が違うのはちょっと嫌ですよね。干支も違えば、体格や運動能力、勉強でも不利になって…… そんな私が、早生まれで良かったと思えるようになったのは、「おとな」になったからなのではないかと考えています。歳をとることがめでたくなくなったということですかね…ちょっと悲しいですが。 早生まれの良いことの一つ目は、浪人や留年が誤魔化せることだと思います。年齢や生まれた年を聞かれても、基本的にはやり過ごすことができます。もし4月や5月生まれだと、周りの同級生よりも2歳も年上という状況ができてしまい、ちょっと焦ります。ですが、早生まれだと生まれた年はほぼ同じだし、感覚としては一個下の4月生まれのようなものです。 二つ目の良いことは、周りに若いマウントを取ることができる点です。私がよくマウントをとっているわけではないですよ。ちょっとだけです。20歳を過ぎてくると、自分はもうこんな歳なのか、と思うことが増えてきます。そんな時に早生まれであることで、同級生に対してまだその歳にはなってないぞ、と安心感を覚えることができます。 と、早生まれの良い点を話してみましたが、ちょっと悲しくなってきました… 早生まれの皆さんは共感できますか? 「おとな」になるっていうのは、歳をとるのが怖くなることなのかな、と勝手に結論づけてみます。早生まれはただの気の紛らわしなのかもしれないですね。 中身の薄い話をここまで読んでくださった方がい

豚キムチもよく作る

こんにちは!!!webセクションの22です!こんにちはー!!お久しぶりですー! 初めてwebで作業場日誌書きますワクワク 今回のテーマはなんと……!なんと…!!!!!!!!! 「おとな」!!!!!!!!!!!!!!!です!!!!!!!!!!!!! webセクションが1番最初に公開されるっぽいので大々的に発表してみましたー!汗 私は今21才ですが、最近やっと自分大人かも!と思うようになりました!就活でいろんな大人に囲われてたらオセロ的に自分も大人に感じるようになったんですたぶん…! あとはあとはやはりお酒を飲める事実に大人を感じるかもしれません…!20歳になる前はお酒を楽しく飲む自分を想像できなかったのですが、今は非常に好きです!!おとなです!!!プリズム同期と飲むと大体たくさん歩くことになるので楽しいです(?)好きなおつまみ発表しちゃいますねー!なんと…!なんと…!餃子とソーセージとオイキムチと野菜スティックとネギトロと生ハムとチーカマです!!!!!!!!! あとはですねー、私弟いるんですけども、下に兄弟がいると「自分大人でいなきゃ…」と思う機会結構ありません??共感者求む!別にいなくてもいいけど というか引退ですよーー!!!!びっくりです!!!もうプリズム入って2年経つんですね!!!!!早いですねー。もう大学も卒業です、短かった…!大学生生活! 小屋入り中はロビーの呪縛霊をしていることが多かったわけなのですが、思い返すと色んな人と話せて楽しかったですね!現webチーフとも去年ロビー番で喋ったなーと今思い出してます!ぼんやりとしか覚えていないが、楽しくお話ししたはず!!!!!! それでは!!!自宅では麻婆豆腐とサムギョプサルもどきばかり作っているwebセクション員でした!!!!!!昨日作った舞茸と卵の味噌汁が美味しかったです!作ってみてねーー!!! おかわり無限で茶碗蒸しが食べたいなー! ありがとうございましたー!!!!!!!