時に、今日の話です。

 今日の私の任務は、コンビニにて、649円の買い物を装い、
レジで待機している店員さんに10090000円という大金を渡し、10089351円の釣り銭を受け取るというものでした。
白昼堂々とレジで行うには憚られるほどの法外な取引、危険の伴うやりとりです。
当然のことながら、レジにこの金額が表示された刹那、一瞬にしてお店の雰囲気も一転。
お客さんを装って店内に侵入していた敵対エージェント達の目つきが、鋭いそれへと変わったのを肌で感じました。

まさに絶体絶命、やりとりの現場を押さえられてしまえば、私も店員さんもただでは済まないでしょう。 

しかし、そこはベテランエージェント私。



















咄嗟に店員さんに視線で合図し、レジの操作ミスでこのような金額になってしまっただけであるかのように振る舞うという、大胆な偽装工作に打って出たのです。
これにはさすがの敵対エージェント達の目もごまかせたようで、私は無事この大きな取引を成功させ、また一つ、エージェントの世界に伝説を打ち立てたのでした。
購入したのは、ミルクコーヒーとパン2つ、そして温かいほうじ茶。いずれも美味でした。
と、このように、エージェントの世界では一匹狼として孤独に生き抜く私ですが、当公演『影法師のなき声』の演出としての私は、そういう訳には参りません。
今日もまた、私は座組の皆にこうして欲しいああして欲しいとお伝えするだけ、
皆がそれを実現するために腐心している間、時を同じくして色々なところに折り込まれていく公演のチラシには、何の因果か私の名前が皆より目立つ場所に載っています。 

皆さんがこの数ヶ月をかけて取り組むそれぞれの仕事こそ、文字通り、この公演の全て。
自分の力で生み出すものなど一つもない立場にある私が、それでも皆さんに混じって僅かながらでも仕事をしたぞと思えるよう、頑張らなければならないですね。 

社会に暗躍するエージェント兼、当公演の演出がお送りしました。

コメント

このブログの人気の投稿

大きな水まで

語り合おうじゃないか

ねえ、生きてくのって、きっと、こういうことなんだろうね