最後くらいは格好付けて

みんな言ってることだけど、映像で門って全然書けなくて。私、映像のことちゃんと好きだったのに。なんて書けばいいか分からないなんて。しょんぼり。テーマ決まったときには、もう少し書けると思ってたのにな。
代わりにと言ってはなんだけれど、少しばかり私の話を、ひとりごとを、聞いてほしいと思う。


夏の足音。そろそろと近付くような冬の足音とは違って、元気よく駆けてくる足音。私はこの夏の足音が好きで、そして同時に嫌いだった。だってその後のことを考えてしまうから。
生温く纏わりつくような風。耳を塞ぎたくなるようなかしましい虫の声。立っているだけでかく汗で湿ったTシャツ。不快なことこの上ない。


でもそれが、いつからこんなに待ち遠しくなったのだろう。みんなと作り上げるこの夏が。この不快さも、不快だと笑い飛ばしてしまえばもうそれだけで十分だった。


十分だった。


もうそれも終わり。これで終わり。
私はこれを、いつから私の居場所を守るものだと思っていたんだろう。これは私を締め出すものだ。時折私をこの居場所に縛り付けるものだと思ったことさえあったけれど。これは、劇工舎プリズムという私の居場所だったものから追い出すものだ。気付かないふりをしていただけだったのだ。

さようなら、これから私が思い出すことがあるのか知らない、きらきらした夏たち。
さようなら、いつか思い出すことのなくなる大学生最後のサークル活動。
さようなら、この陳腐な挨拶しか残すことの出来ない、残しようがないものたち。



2年前門を叩いた私は、自分の手で門を閉める。

だから、ねえ。あなたのその目で見届けて。私がゆっくりと門を閉めるのを、ちゃんと。しっかり閂までかけるから。見ていて。


映像 17 萩原

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