先輩へ、同期へ、後輩へ。

 僕の舞台監督としての原風景は、やっぱり新人公演ですね。あの時は舞台監督になったからすごく頑張ろうとしてたけど、舞台監督だからとか、舞台監督なのにとか、そう思い込んで勝手に自分の首を絞めていたらしい。でも終わってみたら、拙いけどなんだかんだ舞台監督をやれていて、あれはあれでいい思い出。

 そのあとはすぐに新歓公演。3劇の中で舞台は一番凝っていた。まあ作演が舞台の人だったし。彼のアイデアを実際に形にしていくのは楽しかった。小屋入りには頼もしい先輩方がいて、仲良くなった同期もいて、楽しかったね。


 そして夏公演。いやぁしかし大変な公演だった。初っ端から舞台美術を決めるよって時にトラブった。先代舞台監督の涙を見て、上の代のことをちょっとよく知りすぎちゃって、僕まで苦しくなった。でも先輩にとってはプリズムで最後の公演だし、こんな状況で終わってほしくなかった。僕が舞美をやれば全て解決。1人で叩きまくって周りに心配され、僕自身も色々あって気落ちしててちょっと辛かった。僕は演劇の経験がないし、周りの言うことが全て正しいような気がして1人になりたくなる時もあったし、やりたくて舞美やってるわけじゃねえよって言いたくなる時もあったし、叩き場で1人何もせずにボーっとしたり横になって死んでいたりしたこともあった。

 まあ先輩と叩いたのも、後輩に色々教えながら一緒に作っていったのも、楽しかった。最後には僕が尊敬する先輩の綺麗な涙を見て、花を渡して送り出したし、よかったかな。先輩は本当にすごい人だと思う。あの人は1年間逃げずに舞台監督をやり切った。

 あなたのような舞台監督の後を継ぐことができて、光栄でした。


 秋公演になって、いよいよ僕も舞台監督をやるのは最後になった。今の僕は、いくらかちゃんと舞台監督をやれてるんではなかろうか。まあ及第点かな。僕は1年間頑張った。本当によく頑張ったよ、うん。舞台監督、なんだかんだ楽しかった。

 僕が舞台監督を頑張れたのは同期のおかげだと思う。特に同期の舞台屋には大変お世話になりました。今回の作演は舞台屋同期で、もう1人の舞台屋同期も稽古場にいるから、今回は叩き場に僕しか23舞台屋がいなかった。そうなって初めて気づいたけど、舞台屋同期がいるのといないのとでは、僕のやる気が全然違う。やっぱ同期がいると叩きは100倍楽しいよね。

 作演は忙しいながらもたまに叩き場に来てくれました。作業場日誌こんなんでいいのかな、君の考えたテーマをダシにして今までの振り返りをする僕を許してね。君のためなら残作なんていくらでもできるよ。作演じゃない方の舞台屋同期は、多分叩き場で一番会った回数多いかな。よく一緒に叩きしましたね、楽しかった。場を和ませてくれてありがとう。ホント、いい同期に恵まれたもんです。

 そして後輩舞台屋が頼もしい。もう設計もできるし、動くドアも作れるし。どこに出しても恥ずかしくない、立派な舞台屋たちです。皆頑張って叩いてくれるから、僕も頑張れました。素敵な後輩たちです。君たちはもうなんでも作れる。新人公演の舞台、楽しみにしてます。皆で支え合いながら、頑張ってね。


 ところで、僕がこの公演で舞台監督を終えるということは、次の舞台監督に役職を引き継ぐということでして。その引き継ぎ先ももう決まっております。

 次の舞台監督はとても真面目で頑張り屋さんです。頑張り屋さんなので、よく一定数の同期に心配される僕ですら心配になっちゃうくらい頑張ります。でもそれは彼女の長所でもあるので、そのやる気を生かしてプリズムを引っ張っていってほしい。

 舞台監督ちゃんとやれてるかなって不安になったり、周りの意見が絶対の真実みたいに聞こえて自信がなくなったり、なんで自分だけって思ったりすることも、この先あるかもしれない。僕の先代や僕がとてもすごい存在に見えるかもしれない。でも大丈夫、君も十分すごい人です。周りを見て気を遣えるし、きちんと仕事をこなすし、一生懸命だし、何より君は演劇が好きだし。僕でよければいつでも相談に乗ります。舞台図とか設計とかチェックします。何かあったら言ってね。これからのプリズムを、よろしくお願いします。時には周りに頼ることも忘れずに、頑張るんだよ。

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