「制作さーん」

こんばんは。18制作の大野です。

今回の作業場日誌のテーマは「一代記」です。制作で一代記…?と思ったのですが、ひとつ心当たりがあったのでそのお話をしたいと思います。

2年前の秋、お茶大の部室で見つけた古い一冊のファイルについてです。

 

そのファイルは当時、お茶大の部室の棚の中にありました。背表紙に「劇工舎プリズム 制作部」と書かれていた分厚いねずみ色のファイルです。

そのファイルには沢山の古い紙が綴じられており、手に持つとずっしりとした重みを感じさせるものでした。当時私は制作チーフになったばかりだったので、緊張と好奇心から恐る恐るそのファイルを開いたことを覚えています。

 

「第〇回公演 総動員数 〇〇〇人」

ファイルの一枚目に綴じられていた紙は数十年前の公演の動員数を記したものでした。

「公演回数が一桁なんて!今、71回公演が終わったばかりなのに。」そう驚いて、私は次々にファイルをめくっていきました。

そこにあったのは、ボールペンで記したような予算案から、ワープロで一文字ずつ打たれたような動員記録。はたまた、公演の感想として劇工舎プリズムに寄せられた手書きのはがきなど。様々なかたちで記録された数十年前の公演の記録達がそのファイルには綴じられていました。

 

今やデジタル化が進み、公演のデータはクラウド上にデジタルファイルとして保管されるようになりました。郵送で出していたDMが電子メールに変わったり、映像配信という形を使ったり、制作が公演の記録を紙のファイルで綴じていた時代からはずいぶん遠くまで来たように思います。

 

時代は遠く離れましたが、代々引き継がれたその分厚いねずみ色のファイルは、当時の私にとってプリズムという存在の重みを伝えてくれ、前を向く勇気をくれた存在でした。自分もプリズムを構成する歴史の一つになりたい!なんて無鉄砲なことを思うくらいには。

 

過去を振り返るものが、過去の栄光に縋るものにならないように。未来へむかう足取りを鈍らせるものではなく、前を向く原動力となるものにできるように。そう思うと、一代記って華々しい主役だけが残せる物ではないのかもしれません。たとえば、あのファイルを綴じまとめ、引き継いできた歴代のスタッフ達だとか。

 

プリズム18 制作 大野

 

 

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