言葉にするということ
言葉にするということ
丁度1年とちょっと前、初めて戯曲を書いた
戯曲の執筆は自分の内面との対話ではないか
僕が何を感じ、何を考えているのか
それと丁寧に向き合う行為が言葉にするということなのだろうか
僕は、言葉を紡ぐのが好きだ
僕の漠然とした想いが言葉を通して形を帯びていく
それはとても素晴らしい瞬間ではないか
ほかの人に何かをおすそ分け出来たらもっと素晴らしいかもしれない
届けと願いながら僕は言葉を紡ぐ
でも、言葉を紡ぐのはとても難しいことだ
どれだけ言葉を尽くしても伝えられない想いがある
断定の中にきえゆく僕自身の不確かさもある
それは僕自身の力のなさなのかもしれない
それは僕自身の覚悟のなさなのかもしれない
それに、言葉は僕から離れていく
言葉は僕をわかった気にさせる
語りえるものがすべてではないはずなのに
そして、僕ではない誰かを知っているかのような顔をする
本当に言葉は誰かのためになれるんだろうか
僕の安心のためにしかなっていないかもしれない
だけど、僕は言葉を紡ぎたい
言葉でしか伝えられないことがきっとあると信じているから
言葉を紡ぐ時間がきっと意味を見つけてくれるから
言葉は未来に残るものだから
言葉は過去に繋がるものだから
でも、言葉を紡ぐのは怖い
半年前、ふたつめの戯曲を書いた
たしかに書きたいことがあった
そればかりに気をとられ、色々な想いが零れ落ちた
言葉は今も、形として残っている
だけど、言葉を紡がないのも怖い
昔、伝えたかった想いがあった
言葉にできなかった
言葉にしたらときっとすべて変わってしまうと思った
でも、言葉にしなくてもいつの間にかすべて変わってしまった
そして、しだいに色あせていった
色あせたころ、それは言葉になった
書かなかった言葉はたくさんある
書いた言葉もたくさんある
描けなかった未来と描けた今
書いた言葉が今を描いている
だから僕は、今日も言葉を紡いでいく
言葉を紡ぐにふさわしい自分を探しながら
とある舞台屋/ヒイラギ
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