プリズムと僕
23代のキティです。
学科での生活はやたらカロリーを消費してお腹が空くので、最近はなるべく昼食をとるようにしています。褒めてください。僕の叔父はかなり恰幅のいい体型をしているのですが、かつては僕みたいに線の細い青年だったそうです。僕が叔父と同じ道を辿ったらもっと褒めて下さいね。(心配が勝つかもね)
今回のテーマは「ラブレター」。引退公演の作業場日誌テーマに「ラブレター」を持ってくるとは考えたな…と思わず感心します。(恋文という意味での)ラブレターは貰ったことも、将来誰かに贈ることもおそらくないです。今まで書いてきた「ひとり」「後ろめたさ」「旅」「ふたり」に比べてあまりに馴染みのない単語なので、単語をこねこねろくろを回すのも難しい。やはりここは何らかの「ラブ」を文章にしたためるべきかしら…。流石にその辺をはぐらかすのは僕自身も本意ではないですし、はぐらかし癖は文章を書くうえで言われてきましたからね。(指摘してくれてありがとう。)
とりあえずプリズムについて書こう!と思いましたが、書き始めるまでにめちゃくちゃ悩んでます。プリズムでの2年間に真剣に向き合い、想いを言語化する。何と脳と心に負担のかかる営みだろうか。ラブレターを書くのも同じくらい大変なんだろうな…。
書いては消しを繰り返しているうちに頭がショートしたのでとりあえず文章を書いていきます。運良くラブレターになってくれると良いですが…。
僕はプリズムを引退したら所属するコミュニティが無くなります。兼サーはしていないですし、新しく入りたいサークルも今の所ありません。バイトも単発を選り好みしているし、学科は人が多くて連帯感みたいなものがありません。無所属。俯瞰して見ると、僕はある種の自由を手に入れて、同時にある種の孤独に取り残されるということです。状況だけ見るとプリズムに入る前の状態に戻るわけですが、以前の僕と今の僕では何か変わったのでしょうか。(この問いは「氷星かく語りき」で共演した同期にも聞いてみたい所ですが、)僕は確かに変わったと思います。もちろん良い方向に。
わかりやすい所で言うと演劇に関わる諸々のスキル(演技力・各種ソフトの扱い)や、組織の一員として振る舞うための社会性やコミュニケーション能力が伸びました。(ガクチカを聞かれた就活生みたいだ。)この辺は「ギターサークルに入ったらギターを弾けるようになった」と言ってるのと大差ないですね。僕はプリズムの前はギターサークルに所属していましたが、今ではドレミすら覚えていません。なので上に挙げた能力もそのうち忘れてしまうかもしれないです。(社会性もどっちかというと能力に近い気がします。)僕がここで取り上げたいのは、そういった上辺の技術ではなくもっと僕の根本で起きた変化です。
プリズムでの活動を通して僕は、少しだけ人に心を開くことができるようになりました。あと、少しだけ自分のことをポジティブに捉えられるようにもなりました。字面だけ見ると当たり前のことだし、「少しだけかい!」とどうしても突っ込みたくなります。事実を膨らませて書いてもあまり良い気がしないので、ここでは「少しだけ」という表現にとどめさせて下さい。「少しだけ」とは言いますが、僕にとっては0が1になったような感覚で、僕のことをある程度知っている人ならこのことを喜ばしく思ってくれるでしょう。そうです、プリズムの皆さんは僕に凄いことをしてくれたのです。
振り返るとこの2年間は皆さんの優しさに沢山触れてきました。僕はプリズムに秋公から参加していきなり役者(未経験)をやるという、僕にしては結構怖いもの知らずなムーブをしています。それでも皆さんは付き合って日の浅い僕を映像チーフとして座組の一員に受け入れてくれたのです。暖かいですね。このことにはプリズムに馴染んで少し経ってから気がついたので、あまり人に言ったことがない気がします。
プリズムに馴染んでからも僕は皆さんの優しさに助けられっぱなしでした。僕はもやしな体力・気力を酷使して作業に励むことが多かったので、スタ会や小屋では身体を気遣われることがよくありました。(欠食癖はその一番良くない例ですね。)加えておっちょこちょいでミスをすることも度々ありましたが、その度に励ましと慰めの言葉をかけてもらいました。(もちろん仕事に励む度に褒めてもらいました。)演劇をやっている人は”相手の心を汲み取ること”と”感情をまっすぐ伝えること”に長けているのでしょうか。皆さんの真摯な思いが伝わってくるので言葉の裏を疑う余地はありませんでした。(...と言いつつ最初の方はちょっと勘繰っていました。それをしなくなったのも成長と言わせて下さい。)上手く言葉にまとめられませんが、プリズムは弱さを気にしている僕には凄く安心できる場所でした。プリズムの作品にも似た暖かみを感じ、勝手に元気づけられている自分もいて。この辺はプリズムを選んでやっぱり良かったな…!と思います。プリズムを選んで良かったことと言えば、24代の彼のことを語らない訳にはいかないでしょう。僕がきっかけでプリズムに入った彼のことです。新歓劇で男性役者を無理やり用意しないといけない劇団はうち位でしょうから、彼に出会えたのもプリズムに入ったからですね。(彼と僕を引き合わせた作演にもこの場で感謝を述べます。)
新歓劇の出来栄えに悔しさを覚えている僕を彼の存在が救ってくれたことは有名(?)な話ですが、彼が僕にもたらしてくれた祝福がもう一つあります。彼は僕の演技だけでなく人柄にもリスペクトを示してくれています。彼は僕の人柄を「誠実」と表現しますが、思い返すと僕にはこれが強烈に新鮮でした。というのも、僕の遠慮がちな人柄は人を傷つけないために培ったもので、誰かに益する可能性には微塵も目を向けていなかったからです。自罰的思考から生まれているから自分としてはとても褒められたものではないと思っていましたが、彼はそれに「誠実」という立派な名前を付けてくれました。単純ですが、それだけで僕は自分のことが少し認められるようになったのです。ありがとう。(他にも何人かの後輩に似た話をされたことがある気がします。本当に感謝です。)(ここで一息)
プリズムでの経験は、世の中捨てたものではないというか、僕自身捨てたものではないというか、そんな希望を抱かせてくれます。初めに述べたように、僕はプリズムを引退することで自由と孤独の中へと戻っていきますが、景色は以前よりずっと晴れやかです。僕はプリズムでの経験を糧に新たな場所へ歩み出し、そこでも人を信じ、自分自身を信じられる生き方をしたいです。その姿勢を見せることがプリズムの皆さんへの恩返しになってくれればと思います。
...文章が過去一まとまらないまま、頭と筆が燃え尽きてしまいました。ラブレターと自叙伝の合いの子みたいな文章ですが、僕なりに頑張って書きました。最後くらい不格好でもいいですかね。
それではまたどこかで。
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